スペシャル対談

スペシャル対談

地域のための取組みが 私たちの使命
それが 銀行の成長へと繋がる

福井県出身で元バレーボール日本代表、五輪メダリストの三屋裕子氏は、2018年6月から当行の社外取締役を務めています。アスリート、指導者、経営者という多方面での経験を持つ三屋氏に、福井銀行の強みや特徴、福井県の可能性についてお聞きしました。

地域における銀行の存在意義とは?

三屋さんには昨年6月より当行の社外取締役に加わっていただきましたが、当行について、どのように見ていますか?

三屋福井銀行と関わる前は、銀行の業務は融資をするだけだと思っていましたが、経営改善のコンサルティングや事業計画作成支援、事業拡大のためのパートナーの紹介など、とても幅広い業務を行っていることを知りました。

林正博

日本経済が成熟するなかで、銀行に求められる役割も変わってきています。福井において人口減少と急激な少子高齢化の進展が想定されるなか、県内企業の改革・躍進を後押しし、地元企業の業績改善を通じて福井県を活性化させることが当行の使命です。2018年4月からスタートした中期経営計画『「企業理念」の実現に向けて(第1章)』では、地域の「働く人」「働く場所」を増やすことを最重要テーマとして、地域における持続的雇用の増加を目指した様々な取組みを継続し、地域が活性化した結果として当行のお客さまが増えることを目指しています。

三屋私は2018年6月に社外取締役に就任しましたので、すでに中期経営計画は完成していましたが、地域のお客さまのための取組みが結果として銀行のためにもなるという姿勢に共感しました。また、この4月から職員の人事評価から預かり資産獲得などの数値目標を外す決断をされたことには驚きました。

人事評価から数値目標を外したのは、目先の数字ばかりを追ってしまうと、地域の発展とお客さまの豊かな生活の実現に向けて貢献するという本来の目的を見失ってしまうことを恐れたことが最大の要因です。人口が減少する環境では、数字だけを追うと必ずどこかで行き詰まります。お客さまの経営課題の解決策を迅速に提供し、持続的な成長を支援するため、2018年4月にコンサルティングを行う専任部署も立ち上げて1年が経過しましたが、お客さまの経営課題解決に向けた活動量も増え、着実に成果もあがっています。しかしながら、まだまだコンサルティングのレベルを上げていかなければいけないと考えています。

自分で考えて行動できる人財を育成する

三屋コンサルティングを強化するためには、優秀な職員の存在が不可欠です。人財育成は銀行に限らずどの企業でも重要な要素になっています。

職員にはワクワク感を持って働いてもらいたいと思っています。2018年9月に「人づくり宣言」を行い、企業理念である「地域産業の育成・発展と地域に暮らす人々の豊かな生活の実現」に向け、地域の発展に貢献することを働きがいとする職員を本気で育成し、この取組みを通じて職員自らの自己実現につなげていく職場環境や風土づくりを進めています。

三屋スポーツの世界では、リーダーの指示通りにしか動けない「チームレイバー」、チームのミッションを理解し自分がどう動くべきかを考えられる「チームワーカー」という考え方があり、チームレイバーとチームワーカーのどちらが多いかでチームが残せる結果は全然違います。チームレイバーが多いとメンバーの力量の足し算にしかなりませんが、チームワーカーが多いと、自分たちで話し合いながらチームのミッションをクリアできるので、メンバーの力量の掛け算にすることができます。これは企業も同じで、頭取が日頃おっしゃっている人づくりの大切なところだと思います。

当行の「人づくり」の特徴は、業務分野ごとでの知識やスキル専門性を高めていく通常のプログラムに加え、お取引先の経営者など地域のために汗を流しておられる方との対話を通じて、銀行員の視点では得られない気づきを一人ひとりの人間としての成長につなげることを目指していることです。また、頭取である私を塾長とした「人づくり塾」を通じて、福井銀行職員としてのあり方、考え方を繰り返し伝承しています。

フェイス トゥ フェイスの信頼関係が福井銀行の強み

三屋さんは色々な企業を見ておられますが、当行の特徴や強みは何だとお考えですか。

三屋やはり地域に密着しているのが大きな強みだと思います。今はインターネットで物が買えたり、様々な手続きができるようになっていますが、私はフェイス トゥ フェイスの信頼関係はなくならないと思っています。AIやIoTがいくら進歩しても、自分の大切な財産を預けるとなると、最後はフェイス トゥ フェイスの信頼関係があってこそ。福井県は貯蓄率が高く、共稼ぎ率も高いので、信頼関係は福井銀行の強みになると思います。

当行は1899年の創立以来、福井の発展に寄与していくという理念のもと、地域のお客さまとのつながりを重視してきました。その成果もあり、お陰様で当行は福井県内で預金・貸出金ともにトップシェアをいただいています。人と人のつながりを大切にし、地域やお客さまとの関係をどれだけ深めていけるか。おっしゃったように、そこは大切だと思っています。

三屋ガバナンスも効いていると感じます。取締役会での報告事項をはじめ、イントラネットの情報を見ると、かなり細かい話し合いが行われていて、業務プロセスもきっちり踏んでいます。また、職員のコンプライアンス意識も非常に高いと感じます。

コンプライアンスやガバナンスの強化は継続して取り組んでいますし、成果にもつながっています。今後も大いに力を入れていきたいと思っています。

東京にあるものではなく、東京にないものに気づく

三屋さんは福井から東京に出られましたが、今の福井はどのように映っていますか。

三屋裕子氏

三屋福井の人はPRが下手かもしれませんね。福井には色々な良いものがあるのに、それが福井の良さだと気づいていないことが多いのではないでしょうか。私は年に数回、福井県の高校生などに授業を行っていますが、「電車の本数が少ない」「駅前が寂しい」とか、あれがない、これがないと言います。私は東京から福井に帰ってくると、「なんて水が甘いんだ」「空気が本当においしいな」「星がきれいだな」などと思います。東京や大阪にあるものを福井でも欲しいというのではなく、福井らしさこそが一番の売りになるんだという話をしています。

福井県には、自然、歴史、食文化など、県内外に誇れるものがたくさんあります。こうした福井ならではの資源を最大限に活用して地域経済の発展につなげるため、2015年に女性職員による福井県観光活性化プロジェクトチーム「ふくジェンヌ」を結成するなど、福井県の魅力を県内外に発信するためのお手伝いを行っています。

三屋今から約30年前、福井県内で初めて恐竜の化石が私の出身地である勝山で発見されましたが、当時、地元ではほとんど反応がありませんでした。しかし、いつの間にか恐竜博物館ができ、あれよあれよという間に福井を代表する観光地となりました。

恐竜博物館の来館者が増えたのは、高速道路が整備された影響も大きいと思います。現在、中部縦貫自動車道の開通や北陸新幹線の敦賀への延伸など交通網の整備が進み、福井県を取り巻く環境が大きく変わりつつあります。当行としても観光振興や住み良い街づくり、伝統工芸品のブランド化や企業誘致などによって交流人口を増やすことで、福井の発展につなげられればと考えています。

女性が活躍できるステージをもう一段上げる

三屋さんは世界的に活躍し、いろいろなご経験もおありですので、ぜひ今後も幅広い視点で意見をいただければと思います。

三屋社外取締役として、株主の代表という目線は忘れずに見ていきたいと思っています。また、これからは女性の活躍の場をいかに広げていくかということが大切になります。男性よりも優秀な成果を残す女性も数多く育っています。優秀なプレーヤーから優秀なマネジメントが出来る職員への育成がポイントです。その方たちのステージをもう一段上げ、管理職や経営者として活躍してもらうことが今後の課題だと思います。人は行動が結果につながると、業務に対するモチベーションがあがり、さらなる前進に向けたエネルギーが湧きあがる好循環が生まれます。きっかけをどう作ってあげるかが重要で、そのお手伝いができればと考えています。

人づくりはようやく動き出したところで、女性の活躍についてはまさにこれからが本番です。三屋さんは教師やチーム監督・経営者など多彩な経験をお持ちですので、ぜひ期待しています。本日はどうもありがとうございました。

三屋 裕子 氏 プロフィール

福井県勝山市出身。1984年ロサンゼルス五輪バレーボール女子の銅メダリスト。多彩な経歴と豊かなアイデアから多くのスポーツプロデュースを手掛ける一方で、自らも国内オリンピアン初の上場企業の社長として、利益の黒字化や多角経営に取り組んだ経験を活かし、現在も企業や大学をはじめ、各種スポーツ団体に貢献している。2018年6月より当行社外取締役。

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